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キャブレター&空燃比

キャブレターの各パーツの機能
キャブレターは数多くの細かなパーツ(JET類)から構成されています。それぞれのパーツはスロットル開度の各段階での空燃比を決定します以下に各パーツの機能、アクセル開度でのカバー範囲をまとめてみました。
≪スロージェット(パイロットジェット)≫
アクセル開度で1/8以下の場合に影響します。一般的にはアイドリング回転時の混合気濃度を変更したい時に交換します。当店では、空燃比計などを使用しながら空燃比を『14から15』付近でアイドリングが安定するポイントをさぐります。スローJETの交換と平行してエアースクリューやパイロットスクリューでの微調整で安定したアイドリングに調整します。
≪ジェットニードル≫
キャブレターをセッティングする時に一番重要になるパーツの『JN』は、ニードルジェット内を出入りすることで混合気濃度を調整します。『フリット』と呼ばれるサークリップの溝、ストレート径、テーパー角度などから選択し、加速時には8:1に中速時(経済運転時)には14〜17:1に近くなるように調整します。一般的に、ストレート径がアクセル開度1/8〜1/4、クリップ段数が1/4〜1/2、テーパー角度は1/4付近から形状によりけりですが全開付近まで影響するものもあります。画像で一番上のニードルはクリップ位置が固定式のものですので調整することは出来ません。
≪ニードルジェット≫
アクセル開度で1/4〜1/2迄に影響します。番号が大きいほどガソリンの流量が多くなります。
≪スロットルバルブ(カッタウェイ)≫
アクセル開度で1/8〜1/4の間の混合気濃度が変化します。カッタウェイとはスロットルバルブ下端の切り欠き部分のことであり切り欠き量、角度などで変化させています。一般的にあまり変更することはありません画像のカッタウェイは『ケイヒンPWK35』用です。
≪メインジェット≫
もっとも一般的なセッティングパーツのメインジェットはアクセル開度で1/2〜全開迄の濃度調整になります。番号が大きいほどガソリンの流量が多くなります。
≪パワージェット≫

ここからは空燃比の話です!

空燃比(混合比)は『空気』と『ガソリン』を混合して供給している割合を示している数字で、一般的に知られて
いる理想空燃比というのはガソリンを1とした時に空気が14.7の条件で燃焼を行えば完全燃焼すると言わ
れ空気内の酸素と燃料の水素、炭素が完全に反応する比率です。
この14.7を境にして14.7以上の空燃比状態(空気量が多い)を『リーン(薄い)』、14.7以下を『リッチ
(濃い)』と言われています。最近の車でよく聞く『リーンバーン(希薄燃焼)』という言葉はここからきています。
排ガスの主な有害成分は、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(酸化窒素)の3種類です、COとHCは
不完全燃焼により排出されるものなので、空燃比が14.7:1よりも濃い状態の時に出てきます。したがって
空燃比を薄い領域にもっていけばCOとHCの排出量を少なくすることができますが、17:1ぐらいまでは
燃焼温度が上がってゆくのでNOxが増えてしまい、更に薄くすると空気量が多くなる為に燃焼温度は下がり
ますが、安定した燃焼にならずに、未燃焼ガスが出てきてHCが増えてしまいます
一般的に燃焼が可能な空燃比は、8:1〜20:1と言われています。簡単に考えれば、理想空燃比の14.7:1
になるようにセッティングすれば良いと思いますが、現実的にはガソリンの気化量はエンジンの状態や環境
気温、湿度、気圧などの外的要因や、乗り手のアクセルの開け方などに大きく左右されますので、その時に
最適な空燃比を発生するように『キャブレターのセッティング』をする必要があります。
一般的に空燃比は下記の5種類に分類されます。
1.始動時
2.低速時・アイドリング時
3.中速時・経済運転時
4.加速時
5.アクセル全開時

始動時           始動時&エンジン冷寒時は、霧化されたガソリンの一部しか気化できず
マニホールドやポートの内面などに付着してしまう等、むだが多く『5:1』
 ぐらいになります
低速時・アイドリング時 低速時&アイドリング時では吸排気の流速が遅くシリンダ内に残留排気ガス
が残っており、混合気が入っても濃くなりにくい状態なので爆発力も弱くな
ってしまいます、したがって多少濃い目の『12:1』ぐらいになります。
中速時・経済運転時 いわゆる低燃費走行をしている状態の空燃比になります。
負荷が軽く、ガソリンの消費量を最小限に抑えると言うことで『14〜17:1』
ぐらいの混合比となります。
加速時           スロットルバルブを全開にすると吸入する空気の量はすぐに増加しますが
質量が大きいガソリンの吸入量はワンテンポ遅れてしまいます、結果的に
混合気が薄くなりますので空燃比は濃い目の『8:1』ぐらいにする必要が
あります
アクセル全開時 スロットルバルブ全開時にはパワーがもっとも出る『13:1』と言う
パワー空燃比になります

外的要因の変化によるセッティングの変更点

高い時 低い時
気温 小さくする 大きくする
湿度 小さくする 大きくする
気圧 大きくする 小さくする

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